人間関係の極意ー嫌われる勇気よりも大切なコト
インプレッションデザイナーの西岡慎也が、インプレッションサロンからお送りします。各界から素敵なゲストをお招きし、在り方・考え方についてお話していきます。今回のゲストは、美容家/ワールドビューティークリエイターの山田真義さんです。
在り方=自己一致
西岡 本日は、マサさん(山田)にお越しいただきました。よろしくお願いします。
山田 どうもよろしくお願いします。
西岡 僕、マサさんには髪を切ってもらっていて、いつもその素晴らしい技術に感動しています。
山田 ありがとうございます。
西岡 感動というと技術だけでなくて、やっぱり木で言う根っこの部分が大事じゃないかなと思っています。
山田 はい、在り方ですね。
西岡 僕もファッション業界で印象設計「インプレッションデザイン」を提唱しているんですけど、みんな印象を外見につなげたがるんですよね。
山田 形にこだわってしまうんですよね。
西岡 そう。でも僕の師匠が言うんです。「印象は英語でインプレッションだ。つまり、イン(内側)+プレッション(押し出す)、内側にある考え方や在り方が押し出されて印象になるんだ。」と。
山田 なるほど。
西岡 なので、もちろん太郎さん(山田)の技術は素晴らしいのですが、今回は太郎さんの考え方、在り方について深掘りしていきたいと思います。
山田 はい、よろしくお願いします。
西岡 では、太郎さんが大事にしているところを教えていただけますか?
山田 やっぱり、ハウツー(カットの種類など)は100通りとかたくさんあるけど、在り方は1つというところですね。
西岡 なるほど。その1つっていうのは具体的にどんなものでしょうか?
山田 僕が講演などで話をさせてもらうとき、在り方というのは自己一致だ、とお伝えしています。つまり、自分自身で在るということと、自分自身が行っていることが一致しているかということです。外見と内面の話と一緒ですね。結局、内面から溢れ出るものが外側に出て印象となりますからね。自分が本当にやりたいことをやっているか。自分自身をわかっているかどうか。もっというと、自分自身を愛しているかどうか。そういうところですね。
西岡 すごくわかります。
嫌われる勇気を持って、その一歩を踏み出そう
西岡 僕、セミナーを500回以上やってるんですけど、ファッションスタイリストでも、ヘアスタイリストでも、ITエンジニアでも、今を苦しんでいる方が多いと思うんです。
山田 慎ちゃん(西岡)的には、なぜ苦しんでいると思いますか?
西岡 僕は、自己否定が強いからだと思います。自分に対する否定感が強いから。あと、挑戦する力がなかなかないと思います。例えば、先輩に言いたいことがあるのに、そのことを面と向かって言えない。だから、先輩とは縦の関係のままになっちゃう。
山田 はい。
西岡 じゃあ、それをどんな風に伝えていけばいいか?それは、その先輩とどう育むかだと思うんです。でもそれができない。なんでかというと、嫌われたくないから。アドラーの嫌われる勇気って言う本がありましたね。
山田 みんな、嫌われたくないでしょうね。大半の方は嫌われずに生きているでしょう。何も問題ない安心安定を求めて生きています。どうしても嫌われたくない。だから気を遣う。上司にも気を遣って、友達にも気を遣って、嫁さんにも子どもにも気を遣って、親にも気を遣う。なぜかというと嫌われたくないからですね。
西岡 どうにかそこを突破していきたいですよね。
山田 だから僕は、在り方1つだよと伝えています。自分の在り方が分かった人、要するに自分の在り方に気づいた人は、ハウツーや見せ方なんて、何パターンでもできるからです。でも、在り方が分ってない人は頭で考えちゃう。セミナーとかで勉強しても、考えてばかりで学んだことを何も活かせない。在り方がしっかりしていれば、何も迷うこと無く行動できます。それこそ、嫌われてもいいと思って行動できる。
君は、涙を流すくらい人とぶつかり合えるか?
西岡 もし、苦しんでいる方たちが嫌われる勇気を持ったら、やって欲しいことがあるんです。涙流すくらいぶつかりあって欲しい。僕ね、ガソリンスタンドでアルバイトしていた時があるんですよ。ほとんどの人たちが辞めていく中、僕は一生懸命やっていました。そしたら、オイル交換もタイヤ交換も任せてもらえるようになったんです。
山田 洗車はしなかったんですか?
西岡 洗車しましたよ。一分で拭けるというプロフェッショナルでした。それで、僕のファンも増えていったんです。そんな時、以前辞めた子がまた入ってきたんですね。僕はそのとき専門学生で、その子はフル出勤。僕が出勤していない間、その子が僕の仕事をしていたわけです。それに対して、すごく悔しい思いをしました。
山田 あぁ、なるほど。
西岡 なんであいつがオイル交換してんだと。その時に、僕それをお腹に溜めるんじゃなくて、店長に言ったんですよ。「松田さん、なんでサカシンがやってるんですか?」サカイシンヤっていうんですよ。ぼく西岡慎也ですけどね。
山田 (笑)
西岡 そしてね、僕の仕事ですよあれはと。なんかね、仕事を取られた気がしたんですよね。「辞めた人間に僕の仕事させるなんて、ひどいじゃないですか」と伝えた覚えがあります。そしたらね、「西岡さんごめんね。仕事上ね、ああいうのも覚えさせないといけなんだよ」と。そのときにね、悔しくて「じゃ、辞めます!」と言っちゃったんですよ。でね、家に帰って、松田さんのことを考えた時に、「僕とんでもないやつだな」と思ったんです。嫉妬心から辞めるとまで言ってしまったと。けど、その事を開示した結果、松田さんから着信が二回くらいあったんです。それで僕、涙が出ちゃって。(ガソリンスタンドに)帰ってきたときに、「松田さんすみませんでした」と。「サカイシンヤに、お仕事を渡してください」と。「僕、彼をフォローします」と伝えたんです。そしたら松田さんと関係値が深くなって、より良いチームになっていったんです。
山田 なるほど、(良い感じに)循環したわけですね。
嫌われてもいい。自己開示を行おう。
西岡 だからね、後になって考えて何やってんのその子と言われたとしても、嫌われてもいいと思って言ってほしいですね。まさに、嫌われて欲しい。
山田 嫌われる勇気じゃなくて、嫌われてほしい?(笑)
西岡 そう、嫌われてほしいというか、自分が思ってることを開示して、伝えた時に泣いてほしい。いっぱいね。小さいことでもいいから、自分は嫉妬心があるんだっていうのを全て受け入れてください。「俺は本当に小さい男でした」ぐらいの気持ちでぶつかって欲しいですよね。僕自身も色々積み重ねて、経験値を積んだからこそ、今の僕があるわけです。
山田 なるほどね。こういう話をしてると、過去のことを思い出して、自分の在り方の成長、プロセスを思い出しますよね。
在り方がブレない軸を形成する
山田 その瞬間瞬間でね、感情が、言葉が聞こえてくるわけ。今だったらLINEのメッセージ、その言葉に反応してるだけなんだよ。みんな言葉に反応するだけ。でも、在り方、心がしっかりしておけば、言葉に影響は受けない。言葉とか事象とかね。文句書かれてても、本当はそうじゃないんだって。(相手は)俺のことを愛してるんだと思えばさ、言葉なんかどうも無いわけじゃん。
西岡 そうですね。
山田 でも会社だったら、「誰々さんから聴きました。こう言ってました。ああ言ってました。」みたいなのが一杯あるわけでしょ。そこだと思う。だから嫌われる勇気というより。「誰がなんと言おうとも」とまでは言わないし、意固地になる必要もないし、言ったから絶対にしなきゃいけないって決めつけるのではなく、思い込むのでもなく、もう臨機応変に変えていくためにも、やっぱりそこ(在り方)が大事じゃないかと思う。
感情的になるな。感情を伝えろ。
西岡 太郎さんがかわいがっているヨシト君。ヨシト君が素晴らしい事を言ったんですけど、これどうですかね。僕もね大事にしてるんですけど。”感情的になるではなくて、感情を伝える。”まさに太郎さんがいつもバランスよくされてることだなぁと思ってね。「お前ふざけんじゃねえよ」とかね、「バカ野郎」とかね、思い切ってみんな言っちゃうじゃないですか。「なんでお前仕事できねえんだよ」とか。頑張ってもらいたい気持ちが感情的に伝えられて、相手がハートブレイクしちゃう。
山田 なるほど。
西岡 そうではなくて、感情を伝える。例えば、「本当はここを整理してほしかったんだけど、整理してくれなかった」場合。正直に伝えようと。要は、「俺は寂しい」と。「お前さ」って、「俺はお前を好きだけど、これをやらなかったらそれは辛いよ」って、感情的になるんじゃなくて、感情を伝えていく。こうだとどうですか?
山田 感情を出すんではなくて、伝えるっていうのはいいかもね。俺はこう思ってたんだと。そういうことでしょう?
西岡 そうそう。感情的になってね、相手にすねられちゃったとしても、「もうあいつには伝えられない」といってまた閉じるんじゃなくて、もう一回挑戦していく。それって上司が変わったじゃないですか。
山田 そうですね。
西岡 彼らは変えられないんですよ。部下は変えられない。でも、部下も上司は変えられない。
山田 そうなんだよね。企業をプロデュースしたりコンサルしていてよく見ているけど、そうです。もう年齢年代関係ないからね。ブランドも関係ないし。規模も関係ない。何万人いようが、何人だろうがずーっとそう。(つまり、人は変えられない)
プロフェッショナルとしての在り方
西岡 太郎さんのところに来るお客さんも、他の美容師さんに切ってもらったりしますよね。
山田 もちろんもちろん。
西岡 それで僕、感動したのが、太郎さんは、その人達のカットを受け入れてるんですよね。
山田 前に担当された美容師さん?もちろんですよ。
西岡 それってやっぱり居心地がいい。否定がなくて、全肯定。
山田 「いいんじゃない?」みたいなやつね。
西岡 素敵です。
山田 投げやりじゃないですよ。(何でも受け入れる)何でもいいよと。
西岡 そう。
山田 どっちもいいよ、あなたのままでいいよと。
西岡 蓄積された技術があるからこそ、という部分もありますよね。
山田 それは、プロとして当然です。
西岡 だけど、そこに感動があるんだなって。太郎さんのように、やり方も大事にしつつ、考え方、在り方、そして捉え方まで、根っこの部分まで大事にするというのがプロフェッショナルとして必要なことだなと。
山田 そうだね。どんな大きな大木を立てたって、根っこが50cmしかなかったら倒れちゃうもんね。
西岡 そうです。
山田 根は上にそびえる木より長くないといけないし、太くないといけない。そして、地中を縦横無尽に走っておかないとね。
西岡 そうです。
山田 僕らの仕事って結局、美容で言えばね。1つの第一歩を変える行動ですよね。外見を変えるとか、きれいに仕上げるとか。例えば、サロンで言えば、ヘアカラーがきれいに染まるとか。そういうことじゃなくて、今日ワクワクしてもらう。外見がキレイになって「あ、自分って結構イケるじゃん」って自分を愛することに気づいてもらう。そして、一歩出れば彼氏ができるかもしれないし、何かいいことが起こるかもしれない。受からなかった会社に受かるかもしれない。オーディション受かるかもしれない。人生の一歩を変える仕事なんだよね。
西岡 この先の話は、またいつか太郎さんにお願いしたいです。
山田 よろしくお願いします。
西岡 本日はどうもありがとうございました。
山田 ありがとうございました。
西岡慎也
株式会社インプレッション 代表取締役/インプレッションデザイナー
これまでに2万人以上をコーディネートしてきた男性ビジネスパーソン専門のファッションコンサルタント。学生時代、従来のアパレルの販売方法に疑問を抱き、「服を売らずに、コーディネートによる”体験”を売る」という斬新な手法を確立し、勤務する古着店において約4千人のファンを獲得する。2001年、セレクトショップ「WITH PLEASURE」を開店。その経験を通して「ファッションによってクライアントの自己実現に貢献する」というスタイリストとしての在り方を明確にし、2010年、「株式会社ファッションスタイリストジャパン」を設立。外見に注目しがちなファッション業界において、顧客の考え方や在り方に注目した印象設計(インプレッションデザイン)を提唱。その独自のスタイルが評判を呼んでいる。
山田真義
美容家/ワールドビューティークリエイター
起業家、美容家、講演会、開発者、伝道師など、いくつもの顔を持つマルチクリエイターとして活躍。30年間、美容家として活動し、ジャパンヘアメイクデザイナーとして数々のグランプリを受賞。2007年からは、大手美容メーカーとタイアップし、薬剤の開発・プロデュースにも携わる。美のエバンジェリストとして日本全国で美容のプロ向けにセミナーを開催。17年間で150万人以上に影響を与えた。2017年1月には、日本人で初めて美の哲学についてロンドンでインタビューを受け、世界デビューを果たした。その後、世界三大ラグジュアリーブランドのうちの1つリシュモングループからインタビューを受け最優秀賞を受賞。国内外問わず、美のアドバイザー、プロデューサーとして活躍している。
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